<連載>(『マネジメント倶楽部』2001年7月号より転載)

探 訪
インターネット活用事例


野口壽一(株式会社キャラバン・代表取締役)

 インターネット利用者が、iMODOなどのモバイル利用者も含めると3000万人に近くなってきた。インターネットがより身近になるにつれ、より便利で、仕事や遊びに役立つサイトも充実してきた。すでに、インターネット第1世代として生まれてきたさまざまな便利サイト、役立ちサイトは新しい技術を導入して、スピードも使い勝手も格段によくなってきた。今回は最近登場した便利サイト、役立ちサイトのいくつかを紹介する。



検索サーバー


 検索サーバーは、インターネットの玄関であるポータルサイトとしてその役割を果たしてきた。いまや誰でも知っている「ヤフー(Yahoo!)」や「グー(goo)」など、数え切れないほどの種類の検索サーバーが存在している。その中でも最近登場した下記の4種類はこれまでの検索サーバーとは異なる思想で設計され、格段に使いやすくなっている。



 グーグル


googleのホームページ

 10億ページ以上をサーチしているにもかかわらず、ほとんどの場合1秒以内で結果を出す。また、検索サーバー内にキャッシュデータを保存しているので元のサイトのデータが消滅しても閲覧できるという得難い機能(本来の機能ではないが)もある。あまりにも優れていたので最近は、Yahoo!やNiftyもバックでグーグルのエンジンを使うようになってきている。



 モビート


mobeetのホームページ

   Mobeetとは、簡単に言うと、自分の知りたい情報を自分の代わりにWebからとってきてくれるエージェントのこと。たとえば、従来は検索語(単語)を入れて検索し、ヒットしなければ欲しい情報にたどり着くまで絞り込み検索しなければならなかった。ところがモビートを使えば、「3000円くらいの予算でカニ料理を食べられる新宿にあるレストラン」を探したければそのままの文章を入力して検索できる自然文検索機能を実現している。しかもインターネット上で情報を探してくれるエージェント(あなたの仕事をしてくれる秘書みたいなもの)を生成する端末と結果を受け取る端末はまったく別であってもかまわない。さらに端末にあわせて情報を見やすく加工してくれるのでiMODOで検索結果を閲覧することもできる。



 オールアバウトジャパン


allaboutjapanのホームページ

   上記のような最新のIT技術をあざ笑うかのように、検索をすべてマンパワーでやってしまおうというのがこの『All About Japan』 。プログラムによる検索の欠点は似た言葉があれば何でもかんでも拾ってきて表示すること。結局、検索の検索が必要になり、かえって迷路に迷い込んだりする。それに引き替えこのサイトでは、ビジネスから趣味・生活情報に至るまで、それぞれの分野やテーマごとに専門の知識や経験を持った人=「ガイド」が情報収集・編集し、インターネット上にある膨大な情報を、ユーザにとって分かりやすい形で整理し提供してくれる。「絞れる検索システム」、「読んで楽しい記事」など、今日のインターネットユーザがポータルサイトに対して求めるニーズに応えた、システムではなく"人"がナビゲーションするサービスだ。正式サイトオープンにあたっては、161名のガイド、13分野、161のテーマでスタートした。その後も毎月、ガイド、分野、テーマが増えている。機械より実は“ひと”の方が役に立ったりする現実をみると、思わずニヤリとしたくなる。



便利サイト


 インターネット名刺


socioのホームページ

   このサイトを使ってインターネット名刺を交換すると、あなたが渡した名刺は自動的に相手のインターネット名刺ホルダーに入る。同じように、もらった名刺もあなたのインターネット名刺ホルダーに入る。お互いにデータベースソフトに名刺データを入力する面倒な作業をしなくても、住所録ができあがってしまうという便利な機能を提供する。また一度交換が成立していれば、異動や引越などで連絡先が変っても、自分の名刺を書き換えれば、交換したすべての人の名刺ホルダーも自動的に更新される。相手の連絡先が変ったときも同じなので、自分で住所録の更新をする必要がなくなり便利さは倍増。



 オールイン・ボックス


inboxのホームページ

   Eメール、電話、ファックスという3種類のメッセージをサーバー上のひとつのボックスに集約してくれるサービス。あなたのインボックスナンバーに送られてきた電話を、声のファイルとして自分のパソコンで再生できる。受け取った声のファイルは、通常の書類と同じように電子メールに添付でき、他人との情報共有も簡単。同様に、送られてきたファックスを電子メールとしてパソコンで受信できる。これも画像データとして管理できるので後から必要なファックスを探すときに紙の山から探す必要がなくなる。インボックスナンバーにかかってきた電話は職場の電話や携帯電話など3つの電話番号に自動転送できる。



 ジャパンネット銀行


japannetbankのホームページ

   新技術という訳ではないが、ことし4月23日より、全国のコンビニエンスストア等に設置するATM(E−net)で、現金の入出金・残高照会のサービスを開始したネット銀行もますます便利になってきた。ジャパンネット銀行に口座を持っていれば、現在の提携ATM網(三井住友銀行およびam/pmに設置するATM、約2,200ヶ所、約7,500台)にイーネットのATM網(3/31現在で約1,400ヶ所、約1,400台。2002年3月には約5,000ヶ所、約5,000台に拡大予定)が加わることとなり、キャッシュデリバリー・ポイントが拡大する。ネット上での決裁だけでなく、24時間・365日、リアルな店舗でキャッシュの入出金ができるようになった。



 総務省・法令データベース

e-govのホームページ

   総務省は、2001年4月から中央省庁で使っている法令データベースを、インターネットを通じて一般に無料開放した。6,700あまりの法律、法令、省令などを掲載したもので、一般の六法全書の内容はほとんど網羅している。政府のIT情報技術化の成果のひとつだ。このデータベースは、商務省が2001年4月に開設した電子政府(e-government)の総合窓口のホームページからアクセスできる。新たな法律が成立するたびに、順次、データベースに追加される。もう、六法全書を買う必要はない?


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