中小企業のIT革命
第6回
   
著 者:野口壽一
掲載月:2002年07月
  


地域の情報センターを目指す
 石川県金沢市の田中昭文堂印刷株式会社

 「加賀再生」を会社のドメイン名にしている印刷会社がある。石川県金沢市にあり創立が昭和2年2月1日 の老舗中の老舗というべき印刷会社である。名前は田中昭文堂印刷株式会社。


田中昭文堂のトップページ

 ドメイン名にその抱負が表現されているように、田中昭文堂のサイトは自社や印刷関連の情報を発信するだけでなく、1企業の枠を超えて地域の情報発信センターとしての役割をも担おうとしている。

 トップページは一般的な目次構成だが、「ニュース」の項目をクリックするとちょっと驚く。「印刷改造論」という印刷にたいする同社の主張が述べられるもうひとつのWebサイトの表紙が出てくる。さらにこのサイトには、「リトルトリガー」というページがあり、ここをクリックすると「金沢散歩」「連載随想『千姫』」「人と作品」などのコラムがでてくる。印刷業はもともと情報発信産業なのだが、どちらかというと出版業の下請け体質に甘んじてきた。同社がサイト命名にこめた思いの中には、加賀という歴史ある地域の再生と、自社自身の新しい時代に向けた成長の決意がみてとれる。

 もちろん、普通の名刺や「うちの子カード」というペットの名刺(同社の独自製品)などのインターネットを使った受発注システムなど、特徴ある格安のサービスを全国に提供しているのはいうまでもない。

 同社のサイトにある、石川県「加賀百万石物語・利家とまつ」制作企業グループのWebサイト「加賀百万石の100物語 利家とまつ」はNHKの大河ドラマ放映の機会をとらえて石川県の歴史と伝統を世界に広げる、充実した出来映えである。このサイトを制作したのも同社である。


「利家とまつ」のサイト

 インターネットをうまく社業に取り込み、収益向上につなげながら社会貢献を果たしている好例がここにある。